柚子のキャリア・コンサルティングルーム

木之下徹著『認知症の人が「さっきも言ったでしょ」と言われて怒る理由』

木之下徹『認知症の人が「さっきも言ったでしょ」と言われて怒る理由 5000人を診てわかったほんとうの話』講談社、2020.8.19第1刷発行

昨日の映画『メメント』で、認知症の人の体験ができたと書きましたが、この本は認知症専門医が書いた認知症患者視点の本です。

認知症予防の本とは違いますが、認知症とはどのようなものか、世間一般が認知症について受け止めていることに対して、誤解している点について次のように書かれています。

■認知症は、「もの忘れ」ではなく、「記憶のしづらさ」である。

目に見えない症状であるから理解されにくい。足が悪い人に無理やり杖なしで歩けとは言わない。

つまり、記憶できない人に忘れたことをとがめても、本人が傷つくだけで、記憶できるようになるわけではない。

■認知症の人は、人生の落伍者ではない。

認知症予防グッズの宣伝コピーなどから、一般の人は、認知症の人を「人生の落伍者」と無意識に見ている。

認知症予防に躍起になるほど、老化を否定することになり、人の心を痛めつけている。

■ 認知症の高齢者は、近い将来の自分の姿である。

老化を食い止めることはできない。

「認知症が少しでも進まない」ことに至上の価値を置くよりも「関わり合い」の中に人の本質がある。

著者の木之下氏は、「楽しいこと」「嬉しいこと」「ほっとすること」「力がみなぎること」「よしっ頑張るぞ、と思えること」を少しでも増やしていくことが大切であると強調しています。

つまり、穏やかに暮らすことが理想ではないということです。

一人暮らしをするには危なっかしい高齢者に対して、私は、穏やかに暮らすことが一番だと思っていたのですが、それこそが私の勝手な思い込みだったことに気づかされました。

コメントを残す