ニコ・ニコルソン/佐藤眞一著『マンガ認知症』2020.6.10第1刷、2020.9.10第5刷発行、筑摩書房から
この本のあとがきに、著者・佐藤眞一氏が大腸ガンになった時のことを回想しています。
ICUで眠れない夜を過ごしながら、ふと以前文献で見かけた「ベネフィット・ファインディング」という言葉を思い出し、「ガンになってよかったこと」を考えたそうです。
すると、自分だけのものであるはずのガンの苦しみを、本気で心配してくれる人たちの顔が浮かんできたそうです。
退院後は、同僚や仕事で出会う人たちが、自分のことのように心配してくれることがなんとありがたいことかと気づき、それが佐藤氏の人生の財産になったと書かれています。
そして、どんなに健康に気を付けていても病気になったり、(親の)介護をしなくてはならない状態になったとき、「自分にとって新しい体験だと捉えて、その中からいいことを見つけ、少しでもポジティブな感情を持てたらと思います。」と結んでいます。
病気になったり、怪我をしてしまったりと辛いとき、つい「なんで私だけがこんな痛くて辛い思いをしているのか。」「私は何も悪いことはしていないのに。」と恨みっぽく考えがちですが、恨んだところで何も変わりません。
「ベネフィット・ファインディング」という言葉を知っているだけで、その人自身の気持ちが変わり、世の中の見方が変わるというのは、自分も大切に心のうちに取っておきたいと思いました。
「よかった探し」をする少女の絵本『ポリアンナ物語』を思い出しました。
『マンガ認知症』の内容については、後日ご紹介します。