柚子のキャリア・コンサルティングルーム

佐藤裕著『新しい就活』

佐藤裕著『新しい就活』河出書房新社、2020.1.30初版

『新しい就活』といっても、新型コロナウイルス感染拡大前の昨年1月に出版された書籍ですので、コロナの影響は書かれていませんが、キャリアデザインの考え方がわかる一冊です。

佐藤氏は、古い就活について「企業はいかに優秀な就活生を採用できるかと企業PRし、就活生は内定をもらうために自分をPRする。まさに、企業と就活生のPR合戦。」と表現しています。

新しい就活では、大学生がライフデザインを考えた上で、社会人として働くことの意識をもち、自分のキャリアデザインを構築するべきとしています。

特に次のような準備が必要としています。

■社会で活躍している人の人生の分岐点に興味を持つ。

 偉人や成功者の伝記や映画を観る。あるいは、著名なビジネスパーソンの講演会を聞く。さらには、たくさんの社会人の話を聴くことで、「人生の分岐点」という視点で考え、自分の価値観を広げる。

■今の自分から過去を整理してストーリーをつくる。

 自分が誰なのか、どんな人間なのかを説明するときに必要な素材を自己分析で整える。

 自分の特徴を箇条書きにして、それを整理し、ストーリーをつくる。

 成功体験だけでなく、失敗経験やつらかった経験も書きだすことで自己理解が深まる。

■自分にとってのいい会社の定義をつくる。

 入社したい会社と入社したくない会社の定義は人によって異なる。

 未来志向をもち、夢や目標が決まっていれば、いい会社の定義が浮かび上がってくる。

■未来を見据え、自己理解を深めるために自分と向き合う。

 「自分はこれから何をすべきなのか?何ができるのか?」を意識しながら、自分の価値観を定義していく。

 未来をより具体的に想像することを通してどういう能力を身につけるべきか考える。

最後に、佐藤氏は、「自分で自由にキャリアをデザインできる力を、企業は求めている。」としています。

コロナ後の社会情勢を考えると、まさに企業に就職したら安泰というわけではく、常にキャリアデザインを意識し、時代に応じて自身のキャリアデザインを変更していくものだと思います。

大学生にとっての就活は、企業から内定を取ることを目標とするのではなく、最初のキャリアデザインづくりの機会と思って、取り組んで欲しいと私は思っています。

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